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2022.08.16 質 問
T.H  さん
現在磁器の主流となっている天草陶石ではなく泉山陶石によるテストとのことですが、天草陶石との違いを簡単にご教授願えませんでしょうか? よろしくお願いいたします。
2022.08.18 回 答

簡単には難しいですが、天草陶石は磁器の特徴を全て兼ね備えた最高の陶石です。しかも単味で磁器土になりかつ成形しやすいです。それに比べて、泉山陶石は可塑性が格段に劣ります。その上硫黄など硫化物が多く白さに支障をきたします。一番の問題は、作品、製品の歩留まりが悪いです。1616年に発見された日本最初の磁器とされています。でも近年の発掘調査等から、それ以前に有田の西の方の窯場から初期の磁器が発掘され驚くことに泉山の陶石ではなさそうだと、分析結果が最近佐賀大学の方で発表されました。有田出身としては泉山陶石に関心を持ち如何にかして復活したい想いから研究しています。また通説では有田で天草陶石の導入は明治以降とされていたのですが、有田でも明治以前幕末頃密かに使用されていた形跡があるそうです。このように、我々陶芸に携わる者にとって有田は原料の宝庫で、研究を続ける楽しみがあります。是非機会があれば直に訪問してみて下さい。また有田と天草は関係があり井伊直弼が暗殺されなかったら佐賀藩が管轄してたかもとの噂があります。当時天草は天領で幕府の下にあり、井伊直弼とは縁戚関係にあった佐賀藩の天草の天領預かりが泡と消えたらしい。

2022.07.08
T.S さん
登窯で青磁を焼く意義とか目的とか思いとかを聞かせて欲しいです。 素人考えでは、費用と時間度外視の北宋南宋時代の完成された官窯青磁を目指そうとされているのは大変困難だと思います。 重油、ガス、場合によっては電気窯等の方が経済的であるのは言うに及ばず、焼き方を正確に制御でき、 結果として青磁の釉調、釉の厚さ、釉色、貫入等のバランスや均一性や、質感、量感、肌触り等を 思い描く理想に向かって突き詰めて行き易いのではないか等と思ってしまいます。 中国で作られ数100年或いは1000年を経てきた作品(骨董)には、例え窯出し終えたばかりに見える ような作品でも、時代という(古色、オーラー、伝説等)価値や評価が付きまとっています。
2022.07.09 回 答

まさしくおっしゃる通りです。
最初に薪窯を焚きたい理由です。
薪の炎とガス、電気の違いを確かめたいとの好奇心で実験することからがスタートです。(平成元年登り窯 築窯)
比較的、自由自在に操れる窯を利用しないのは、作為を嫌うからです。ガス窯の場合はバルブ操作やガス圧の調整により温度や窯内の雰囲気等を考えながら焼き上げます。それより自分で薪をくべ火加減を確かめながら焚きたいと思いました。
焼き上がりですが、薪に一旦火が着いたら、手に負えなくなります。その上、焼き上げて薪の投入を止めても窯の中に熾が残り燃え続けながら冷めていきます。多分その様な状態が思わぬ効果を出して、青磁秞にまったりとした表情を付けてくれる様な気がします。また薪のような固体燃料の特徴として、投入したときに一旦温度が下がり燃え出して上がります。気が抜けない時です。こういう一連の流れが面白く苦しくてもやめられなく焼き続けてる理由です。焼き上がりもガスや電気窯では出ない珍しい作品が出来上がった時はひとしおです。
私のテーマは復元ではなく現代的に再現する事を目指しています。もちろん宋時代の青磁の作品は目標ですが。
文章では長くなるのでいつの日かサンプルをお見せしながら説明させてください。
質問ありがとうございました。

2022.07.05 質 問
S・N  さん

貫入について興味があるのですが、貫入が入るときの音はどういう音がするのでしょうか?また、どのタイミングで貫入が入りますか?

2022.07.05 回 答

質問有難うございます。
貫入の入るメカニズムは釉薬と素地の収縮率の違いで起こります。釉薬が縮み素地がそれより縮まない
場合です。素地が陶器質の方が入りやすいです。複雑な多重貫入を出す場合は、釉薬を調合する際、長石の種類を選ばないとなりません。
音の方は、チンチンと軽やかな音色を奏でます。
そのタイミングは普通は窯から作品を取り出すために常温に冷やされた時です。急冷したら素地まで割れる場合があるので注意が必要です。
貫入は常に増えるためいつまでも止みません。時間が経つにつれ鳴る頻度が少なくなります。
赤ん坊の産声に喩えられます。

2022.07.01 質 問
タコ さん

ツルツルしているお皿もあれば、ザラザラしているお皿もありますが、その違いはどう作陶しているのですか?

2022.07.04 回 答

ありがとうございました😊
ツルツルしているお皿は、生地の上に釉薬と言ってガラス状のものでコーティングします。衛生的で耐久性が増します。ザラザラのところは釉薬が掛かって無い生地のまま焼き上がった状態です。焼き締めと言います。

2022.07.01 質 問
K.T さん

昔(江戸時代)は経験と勘で焼き物を焼いていたのですか?

2022.07.01 回 答

はい、そうですね。当時は窯焚き専門の渡り職人集団が経験と勘で指導し、実践したみたいです。それにしても現代の機器に劣らぬ工夫が随所に見られます。例えば釉薬(白釉)を棒状に固めて立てて倒れかけたら攻め、焼べ込み(還元)の頃合いとか…。最後に色見(上げて見)で確認し、焚き終えます。中国の宋時代の青磁の窯ではそれが10個以上立ててある楕円型の板皿が発掘されています。それだけ火を止める時の緊張が伝わってきます。畏敬の念でただただ敬服します。私にとっては遠く険しい道です。

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