簡単には難しいですが、天草陶石は磁器の特徴を全て兼ね備えた最高の陶石です。しかも単味で磁器土になりかつ成形しやすいです。それに比べて、泉山陶石は可塑性が格段に劣ります。その上硫黄など硫化物が多く白さに支障をきたします。一番の問題は、作品、製品の歩留まりが悪いです。1616年に発見された日本最初の磁器とされています。でも近年の発掘調査等から、それ以前に有田の西の方の窯場から初期の磁器が発掘され驚くことに泉山の陶石ではなさそうだと、分析結果が最近佐賀大学の方で発表されました。有田出身としては泉山陶石に関心を持ち如何にかして復活したい想いから研究しています。また通説では有田で天草陶石の導入は明治以降とされていたのですが、有田でも明治以前幕末頃密かに使用されていた形跡があるそうです。このように、我々陶芸に携わる者にとって有田は原料の宝庫で、研究を続ける楽しみがあります。是非機会があれば直に訪問してみて下さい。また有田と天草は関係があり井伊直弼が暗殺されなかったら佐賀藩が管轄してたかもとの噂があります。当時天草は天領で幕府の下にあり、井伊直弼とは縁戚関係にあった佐賀藩の天草の天領預かりが泡と消えたらしい。
梶原茂正が教えるやきもの研究室
佐賀県有田町の茂正工房、窯主の梶原茂正が
陶磁器の研究を通して
人と繋がり、はなし、共に考える
研究室のような"やきものを学ぶ"サイトです。
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「はじめまして、窯主の梶原茂正です。
父の経営する佐賀県有田町の窯元、しん窯を独立して茂正工房を開窯。
その後工房にて作陶と研究をはじめ、
佐賀県立有田窯業大学校嘱託、
九州産業大学芸術学部教授に就任。
定年退任後、これまでの研究や
陶磁器の知識をアウトプットする場として、
やきもの初心者でも、同じ研究者でも
気軽に
学びを深められるウェブ研究室を作りました。
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有田焼は白磁、染付、赤絵の作品が多い中、
茂正工房は青磁に特化した製品を
制作しています。
釉薬、絵具等は全て自ら研究、製造し
素地はろくろで一品一品丹念に作っています。
17世紀にこの有田の地で
盛んに青磁を焼いた
先人の陶工に思いを馳せ、
薪窯に挑み続けています。
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このサイトの学び方
作陶コラム
茂正工房での作陶の記録や、これまでの研究、ご質問への回答などを投稿しています。
これまで学んできた陶磁器について、有田焼について、青磁について、深く解説しています。
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要旨 泉山陶石から採取したロウハを使用し泉山陶石にこだわった独自の青磁作品を制作することを目的として以下の焼成実験を行った。 鉄分を泉山陶石から採取したロウハを使用した青磁釉の作製 ロウハを市販のベンガラと泉山陶石で調 […]
要旨 本研究の目的は,初期の広義の柿右衛門様式磁器の再現をめざすことである。そのためには、複数の材料を用いて釉薬及び素地の再現実験をすることが必要である。本論では、その実験の過程と結果及びそれについての考察が示される。 […]
要旨 北宋汝窯水仙盆をタタラ板作り成形での再現を試みた。その際、当時の技法ではなく、現在の便利な道具を駆使して行ってみた。土台となる楕円の立体は展開ソフト注 1)に数値を入れて石膏型を作製した。タタラ板は電動たたら板成 […]
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